ハイ/ロー・コンテクスト

~挨拶表現とコンテクスト~

日常交わす『おはようございます』『こんにちは』『こんばんは』といった挨拶ですが、考えてみるとおかしな表現です。慣習としてなんの疑問もなく使っていますが、『おはよう』とは誰がどれくらいはやいのでしょう。『こんばんは』とは一体なにを指しているのでしょう。不思議な表現です。
 
英語で対応する挨拶表現は『Good morning』『Good evening』でしょうが、こちらは文法的に補えば『Have a good morning(よい朝をお迎え下さい)』や『Good morning to you(あなたにとってよい朝でありますように)』ということで、相手に働きかけようとする意思やその意味もはっきりしています。別れの挨拶としても使うことができます。
 
ここにも文化的なコンテクストが見え隠れしているように思われます。日本語の挨拶はまさにハイ・コンテクストの中で意味が出てくるものです。オフィスで『おはようございます』と挨拶されて『もう9時をまわってる。何がはやいものか!』と怒るようでは、コミュニケーションはうまくいきません。フランス文学者で評論家であった多田道太郎氏の著書の中に、挨拶を考察した次のような一文があります。
 
人と人とが出会う、そのさい、まず共通の場を設定─というより確認しあうのである。それぞれの背後に、共通の慣習というものがあり、たがいがその慣習の体系にしたがって行動するであろうということを確認しあうのである。一見ばかばかしく見える挨拶の、けっしてばかばかしくはない意味がここにある。

(『しぐさの日本文化』講談社学術文庫版 2014 p.35より)

 
多田氏のいう「慣習の体系」とは、まさに文化が有するコンテクストのことです。『こんにちは』の背景には、「今日はお仕事大変ですね」とか「今日は調子はいかがですか」といった、他者へのコミュニケーションのきっかけが含まれており、それがコンテクストの中で確認できることで、お互いの安心感につながるのです。このように、日本語のなにか曖昧模糊とした挨拶の中には、ハイ・コンテクストの文化ならではの特色を見ることができます。
 
もちろん、文化という点では日本国内でも地域によって異なる文化が育っており、挨拶にも違いがあります。上で紹介した多田氏の本の中には、ある東京人が京都の旅館で『お早うお帰りやす』と言われて、『早く帰ろうが遅く帰ろうがおれの勝手だ』と腹を立てたという話が載っています。ある地域では慣用的に(ハイ・コンテクストの中で)使われている、実質的には意味のない挨拶言葉が、文化が異なる(コンテクストが異なる)地域の人間には通じない例の一つです。
 
『お寒うございます』と挨拶したら『私のせいじゃない!』と怒られたという、コントのような話もありますが、これは当人のへそ曲がりのせいかもしれません。

リーダーシップPM理論

~リーダーシップの二元論~

リーダーシップ研究の歴史をたどると、リーダーの資質や能力に注目した特性発見的研究、リーダーはどのような行動をとるかに注目した行動記述的研究、リーダーの側からだけでなくリーダーを取り巻くメンバーや環境との関係に注目した状況適合的研究といった、大きな流れが見られます。どれが絶対的なアプローチということではありませんが、行動記述的研究や状況適合的研究では、多くの理論が生まれてきています。PM理論は、世界でもよく知られた行動記述的研究の一つです。
 
PM理論に見られるように、行動記述的研究の大多数はリーダーシップ行動を2種類に分けています。
 
これをリーダーシップの二元論といいます。研究によってその行動名称は異なりますが、大別すれば、仕事・課題志向的行動と人間関係志向的行動であり、リーダーはこの2つの面からメンバーに影響を与えることが明らかにされています。
 

行動記述論的研究に見られる行動次元の名称

研究 仕事・課題志向的行動

人間関係志向的行動

オハイオ州立大学研究 構造づくり
initiating structure
配慮
consideration
ミシガン大学研究

仕事中心
job-centered

従業員中心
employee-centered

PM理論 課題遂行
performance

集団維持
maintenance

マネジリアル・グリッド 生産への関心
concern for production

人への関心
concern for people

 

リーダーの行動から導き出されたこうした二元論とはやや趣を異にしますが、リーダーシップが目ざす効果性ということに着目した2つのリーダーシップ論にも、近年関心が集まっています。一つは、メンバーとの相互の交流を通じて目標を達成しようとするリーダーシップ行動であり、従来のリーダーシップ理論の多くに共通するものです。このようなリーダーシップを交流型リーダーシップとよびます。
 
これに対して、近年は、積極的に変化を導入してメンバーに刺激を与え革新を導く変革型リーダーシップが注目されています。変革型リーダーシップでは、理想的な影響力、メンバーのモチベーション喚起、考え方や視野を広げる知的刺激の提供、達成や成長を目ざしたメンバー個々への配慮の4要素が中心となります。
 
もちろん、ここでも2つの型は背反するものではなく、交流型リーダーシップでメンバーとの良好な関係を築き、変革型リーダーシップでメンバーの意識変革に働きかけるといった、両者を適切に行使できるリーダーが望ましいことは、言うまでもありません。

学習性無力感

~セリグマンの実験~

「失敗は成功の母」「努力する者が栄冠を勝ち得る」等々、失敗してもあきらめず努力すれば成功につながると将来に期待するのが人の心理です。しかし、回避できない失敗が続くと、努力や挑戦への意欲が削がれてしまう場合もあります。米国の心理学者セリグマン(M. Seligman)はイヌを被験体とした実験的研究でこのことを証明しています。
 
被験体となったイヌの一方のグループは、第1日はハンモックに吊され、身動きできない状態で短い電気ショックを何度も与えられます。もう一方のグループでは、同じように吊されはしますが電気ショックは与えられません。
 
翌日、今度は低い柵で2つに仕切られた箱(シャトルボックス)に入れられます。この箱の中では、ランプが点いてから10秒後に、イヌが置かれた方の床に電気ショックが流れますが、柵を跳び越えて隣の床に逃れればショックを回避することができ、そのまま留まっていれば1分間の通電ショックを受けることになります。
 
第1日にハンモックに吊されるだけで電気ショックを与えられなかったイヌでは、シャトルボックスの中ではすぐに柵を跳び越え隣の床に逃げることを学習しました。ところが、ハンモックに吊され電気ショックを与えられ続けたイヌでは、その場に留まったままで柵を越える行動は見られませんでした。
 
つまり、第1日目の電気ショックは自分では逃れることのできないものであり、どのような努力をしても苦痛を回避することは不可能であるということを「学習」してしまった結果、第2日はなす術なく電気ショックにさらされるままになっていたと解釈できます。
 
セリグマンは、イヌに見られたこの反応を「学習性無力感 learned helplessness」と名づけました。学習性無力感は、長期にわたり逃れられない苦痛やストレスに晒され続けると、何をやっても状況を改善できないという感覚を学習してしまい、そこから逃れようとする努力を放棄し無反応になってしまう現象です。セリグマンによれば、人のうつ状態はこれと同様の反応であるとみることができます。
 
セリグマンは若い時代にこの研究を発表し世界的に注目されました。その後多くの研究業績を重ね、1998年にはアメリカ心理学会(APA)の会長にも選出されています。近年のセリグマンは、人の弱さの側面だけでなく強みや長所、美徳といった側面も明らかにし、人のもつポジティブな機能を研究していく必要を説いています。
 
こうした主張は「ポジティブ心理学」と呼ばれ、多くの研究者の共感と新しい研究を生み出しています。ポジティブ心理学の提唱者であるセリグマンは「ポジティブ心理学の父」とも呼ばれています。

スピル・オーバー仮説

~ワーク・ライフ・バランス~

ワーク(仕事)とライフ(家庭などプライベート)は相互影響関係にあり、それぞれ肯定的な側面と否定的な側面が存在することを、スピル・オーバー仮説と呼ぶ。
 

・ポジティブ・スピル・オーバー:仕事上の役割が増えることで、プライベートにも張りが出るなど良い影響が出ること
・ネガティブ・スピル・オーバー:仕事上の負担が増えることで、心身ともにストレスを感じ、私生活に悪影響が出ること

 

仕事と生活をいかに調和させていくかというワーク・ライフ・バランスの問題は、企業が向き合うべき重要な課題となっています。ワーク・ライフ・バランスという用語自体は以下のように定義されています。
 
・年齢、人種、性別にかかわらず、誰もが仕事とそれ以外の責任、欲求とをうまく調和させられる生活リズムを見つけられるように、就業形態を調整すること(イギリス貿易産業省)
 
・働く人が仕事上の責任を果たそうとすると、仕事以外の生活でやりたいことや、やらなければいけないことに取り組めなくなるのではなく、両者を実現できる状態 (厚生労働省)
 
ワーク・ライフ・バランスへの支援は、企業にとっては新たな負担が生じるようにも見えるかもしれませんが、むしろ企業業績に好影響を及ぼすという調査結果も報告されています。いずれにしても、今後社会全体で取り組んでいく必要のある重要な問題であり、東京大学社会科学研究所ではその推進に向けて以下の5つの提言を行っています。
 
<WLB推進に関する5つの提言>
提言1 「WLB推進は生産性や組織コミットメントの向上につながる
 企業がWLB推進に取り組むことは、社員の生産性の向上や組織コミットメント、さらに勤続意向などの向上につながると考えられ、企業の人材活用において有効である。
 
提言2 「WLB推進はリスク低減に貢献する
 企業がWLB推進に取り組むことは、人材活用におけるリスク低減に貢献するものとなる。
 
提言3 「WLB推進には職場マネジメント改革が必要
 WLBを実現する上で重要な取り組みは、「職場のマネジメント」と「職場の風土」の改革であり、それらを経営課題として全社的に取り組むことが必要である。
 
提言4 「WLB支援に関わる施策はハードよりソフトが鍵
 WLB支援にかかわる諸制度の適応には、その周知徹底と制度を利用しやすくする環境整備が必要である
 
提言5 「社会が一体となって取り組むことがWLB推進の近道
 企業によるWLBの推進は、特定の企業において完結するものではなく、社会全体として取り組むことが必要となる。
 

(東京大学社会科学研究所 2009)

 
働くこと(ワーク)とプライベートな生活(ライフ)を充実させることとは緊密に結びついており、どちらか一方という選択は現実的ではなくなってきています。企業や国の施策に頼るばかりでなく、一人一人が自らの問題として取り組んでいく意識が求められています。

リーダーの6つの勢力

~リーダーに求められる要件~

リーダーは資質をもった者だけが選ばれるという考え方に対して、誰もがリーダーになれるという考え方があります。リーダーシップ指南書とでもいうべき書籍が毎日のように出版されていますが、そうした中にはリーダーになるためのアドバイスやヒントが多く紹介されています。すべてが誰にも役立つというものでもありませんが、興味深いリーダー観、リーダーシップ観も少なくありません。
 
こうしたリーダー観でよく知られているものに、GE(General Electric)社のCEOであったジャック・ウェルチが当時提唱した“4Es”があります。“4Es”とはリーダーに求められる要件であり、
 
    Energy: 新しいことに挑戦しようとするエネルギーに満ちている
    Execution: 行動に移すことができる
    Edge: 自分自身の考えをもち、確固たる決断や行為がとれる
    Energize: 周囲に力を与え元気にできる
 
の4つを指します。
 
こうした“E”で表されるリーダーの要件は他にもあります。たとえば組織研究者のナドラーは、Envisioning(明確なビジョンを描くことができる)、Empowering(メンバーがもっている力を引き出すことができる)、そしてEnabling(変化や変革を具体的に実現できる)の“3Es”をあげています。もう一つ紹介すると、かつては世界有数の電子・通信機器メーカーで会ったモトローラ社では、Envision、Execution、Edgeに加えて、Energine(周囲を元気にできる)、そしてEthics(倫理観をもっている)の“5Es”が掲げられていました。
 
また、“E”でまとめられるものではありませんが、リーダーシップ研究者のベニスは、「指針となるビジョン」「情熱」「誠実さ」「信頼」「好奇心と勇気」の5つを、リーダーが備えるべき要素としてあげています。
 
これらはいずれも、リーダーが効果的にリーダーシップを行使するための要件といえますが、しかし決して生得的なものではなく、誰もが努力次第で身につけることが可能です。ベニスもその著書の中で上記の5要素を紹介しつつ「ここには変えることのできない生得の特質などひとつもない」と断言しています。
 
結局、リーダーとは生まれつくものではなく、努力の過程でなっていくものであるといえます。つまり誰もがリーダーになる可能性をもっているということなのです。冒頭に触れたたくさんのリーダーシップ指南書は、そうした可能性を開花させた人たちの努力の過程として読めば、また面白さも違ってくるかもしれません。

コンフリクト理論

~コンフリクトの基本型~

組織行動学者のロビンスの3タイプとは別に、レヴィン(K. Lewin)は、対象に接近したいという欲求(接近欲求)と、対象から逃れたいという欲求(回避欲求)の存在を仮定することで、この2種類の欲求の存在が引きおこす3タイプのコンフリクトを考えました。
 
「接近 – 接近」コンフリクトは、魅力を感じ接近したいという対象が同時に複数(以下では2つを想定します)存在するのですが、どちらか一方しか選ぶことができないというコンフリクト状態です。職場の同期の飲み会と学校時代の仲間との飲み会が重なってしまい、どちらも行きたいのだけれど、時間や場所の制約で片方しか参加できないというような場合に生じます。この場合、対象はどちらもプラスの魅力をもっているので、より魅力の高い方を選ぶことになります。
 
「回避 – 回避」コンフリクトは、近づきたくない、回避したい対象に挟まれた場合に生じるコンフリクトです。新しい上司とそりが合わず職場に行きたくない、けれども仕事を休んで評価が下がるのもイヤだ、というような場合です。どちらにも近づきたくないため、両者からちょうど中間のあたりで行動は止まってしまいます。朝はギリギリに出てきて、仕事は適当にこなし、終業時間になったらできるだけ早く退社する。
「遅れず休まず働かず」といった行動になりがちで、これではモチベーションも高まりません。
 
3つめは「接近 – 回避」コンフリクトです。これは一つの対象が接近の魅力をもつと同時に回避の欲求も引きおこすという、一見変わったタイプのコンフリクトです。甘いものに目がないのだけれど、太りたくはない。職場では仕事は楽しいのだけれど人間関係が疲れる。こうしたコンフリクトは、一方で接近の行動を生むと同時に近づきすぎると回避の行動が生まれ、つかず離れずといった状態になります。一見変わったタイプと書きましたが、考えてみれば仕事の上でも普段の生活でも、このタイプのコンフリクトはむしろ日常茶飯事かもしれません。
 

目標設定理論

~効果的な目標設定~

目標はモチベーションの発動にとってなくてはならないものであり、目標のないところにモチベーションは生まれません。目標設定理論の提唱者であるロック(E. A. Locke)とレイサム(G. P. Latham)は、効果的な目標設定のために7つのステップを紹介しています。

 ステップ1.なすべき大まかな目的や課題を明確にする
 ステップ2.業績や成果の測定方法を明確にする
 ステップ3.達成すべき基準やターゲットを具体的に示す
 ステップ4.目標達成までの時間的な範囲を具体的に示す
 ステップ5.目標に優先順位をつける
 ステップ6.目標の困難度と重要度を明確にする
 ステップ7.目標達成に必要な調整を行う

7つのうちステップ6は補助的なステップと位置づけられており、目標が複数あってそれを数値化することが望ましい場合に用います。以下のような例で考えてみます。

 

目標         重要度    ×   目標困難度   ×   目標達成度    =    積 
A
10(※)
8
.90
72.00
B
7
5
1.00
35.00
C
4
10
.50
20.00
D
1
6
.80
4.80
総合成績得点  131.80   

※10が最も重要または困難 

(ロック&レイサム/松井・角山訳「目標が人を動かす」ダイヤモンド社より)

 
この例では、目標達成度をすべて1とすれば、取り得る最高点は161点となり、現在の総合成績が131.8点なので、8割強の達成率ということになります。もちろん、実際の評価はそれほど単純なものではありませんが、 目標の困難度と達成度が考慮されていることが一つのポイントです。つまり、困難度が低く容易に達成できる目標では、目標達成度が高くとも成績は高くならないということです。同じく、重要度の低い目標では達成度が高くとも成績は高くなりません。
目標が複数ある場合には、それぞれの目標を的確に評価し力の配分を考えることが、高い業績につながるということです。

代表的な思い込み心理

~ステレオタイプ・ハロー効果・包装効果・寛容効果・アンカリング~

代表的な思い込みの心理は以下の5つに分類される。

 

ステレオタイプ
一部の特性で人を分類し、その分類に一般的であると考えられる特性をあてはめる

(例)「最近のゆとり世代は-」「とかく近頃の若者は-」

 

ハロー効果
全体的な好悪の感情が細部の判断に影響を及ぼす

(例)英語のできる人であれば優れたビジネスパーソンであると評価する

 

包装効果
1つの特徴があれば、他の特徴もあるだろうと勝手にひと括りにして判断する

(例)「頑固な人は怒りっぽいだろう」

 

寛容効果
好ましい特性についてはより高く、好ましくない特性についてはより低く判断する

(例)好感の持てる社員には実際以上に判断が甘くなり、あまり好きでない社員には実際以上に判断が厳しくなる

 

アンカリング
ある事象の評価が、参照点として与えられた情報に 引きずられてしまう

(例)最初から3,000円の商品と、5,000円の定価が3,000円に値下げされている商品があると後者の方がお徳に思える

 

 

次の図を見て下さい。

 

 

○の段と×の段が横方向に交互に並んでいると見る人もいるでしょうし、縦に○と×が交互に並んでいると見る人もいるでしょう。これを斜めに○と×が交互に並んでいると見てもよいはずですが、そのようにとらえる人は 少ないと思います。多くの人は、横の○あるいは×の並びか、縦の○×交互の並びととらえるでしょう。 その方が「まとまり」として無理なくとらえることができるからです。

 

このように、含まれる要素が単独ではなく複数ある場合には、人はこれをまとまりやすい配列でとらえるという、群化あるいは知覚的体制化とよばれる傾向が存在します。まとまりとしてとらえるということは、情報を効率よく処理することができることにつながります。短い時間に判断しなければならない場合には、このような情報処理のやりかたが効果を発揮します。

 

思いこみ心理にも同様のメカニズムの働いていることが考えられます。A、B、Cという要素を別々に処理するのではなく、一つにまとめて処理できれば、それだけ素早い判断ができます。ステレオタイプや包装効果などの思いこみ心理は、その代表的な例といえます。もちろん、こうした判断がすべて間違いであるとはいえません。 人それぞれの経験からつくられる判断枠組みの中には、かなり的を射たものもあるでしょう。ただ、こうした判断だけに頼ると、まさに「思いこみ」が先行してしまって正確な実像をとらえ損ねることにもなりかねません。

 

もう一つ例をあげましょう。これは誰もが陥る錯覚現象です。並んでいる2本の線は同じ長さですが、両端に付いている矢羽根の向きによって線の長さが違って見えます。この錯覚現象(「ミュラー・リヤー錯視」)を知っていてもそう見えるのですから、知らなければ線の長さが同じであるとは気がつきません。

 

 

私たちの判断には、思いこみや錯覚が入り込みやすいということに注意しましょう。前のめりの判断をしていないか、心理的な錯覚にとらわれていないか、最終判断の前にもう一度振り返ってみることが大切です。