~ワーク・ライフ・バランス~
ワーク(仕事)とライフ(家庭などプライベート)は相互影響関係にあり、それぞれ肯定的な側面と否定的な側面が存在することを、スピル・オーバー仮説と呼ぶ。 ・ポジティブ・スピル・オーバー:仕事上の役割が増えることで、プライベートにも張りが出るなど良い影響が出ること |
仕事と生活をいかに調和させていくかというワーク・ライフ・バランスの問題は、企業が向き合うべき重要な課題となっています。ワーク・ライフ・バランスという用語自体は以下のように定義されています。
・年齢、人種、性別にかかわらず、誰もが仕事とそれ以外の責任、欲求とをうまく調和させられる生活リズムを見つけられるように、就業形態を調整すること(イギリス貿易産業省)
・働く人が仕事上の責任を果たそうとすると、仕事以外の生活でやりたいことや、やらなければいけないことに取り組めなくなるのではなく、両者を実現できる状態 (厚生労働省)
ワーク・ライフ・バランスへの支援は、企業にとっては新たな負担が生じるようにも見えるかもしれませんが、むしろ企業業績に好影響を及ぼすという調査結果も報告されています。いずれにしても、今後社会全体で取り組んでいく必要のある重要な問題であり、東京大学社会科学研究所ではその推進に向けて以下の5つの提言を行っています。
<WLB推進に関する5つの提言>
提言1 「WLB推進は生産性や組織コミットメントの向上につながる」
企業がWLB推進に取り組むことは、社員の生産性の向上や組織コミットメント、さらに勤続意向などの向上につながると考えられ、企業の人材活用において有効である。
提言2 「WLB推進はリスク低減に貢献する」
企業がWLB推進に取り組むことは、人材活用におけるリスク低減に貢献するものとなる。
提言3 「WLB推進には職場マネジメント改革が必要」
WLBを実現する上で重要な取り組みは、「職場のマネジメント」と「職場の風土」の改革であり、それらを経営課題として全社的に取り組むことが必要である。
提言4 「WLB支援に関わる施策はハードよりソフトが鍵」
WLB支援にかかわる諸制度の適応には、その周知徹底と制度を利用しやすくする環境整備が必要である
提言5 「社会が一体となって取り組むことがWLB推進の近道」
企業によるWLBの推進は、特定の企業において完結するものではなく、社会全体として取り組むことが必要となる。
働くこと(ワーク)とプライベートな生活(ライフ)を充実させることとは緊密に結びついており、どちらか一方という選択は現実的ではなくなってきています。企業や国の施策に頼るばかりでなく、一人一人が自らの問題として取り組んでいく意識が求められています。